「フェルミの海」について説明せよ
ー太平洋に浮かぶ小さな島「ウォータ島」.
そこに住む人々は決して裕福なわけではなかったのだが、皆が助け合い、いつも笑いの絶えないのどかな漁師の島であった。
今日も子供達が元気に島を走り回っていた。
その子供たちを率いる一人の少年がいた。
彼の名はフェルミ。
父は凄腕の漁師で、島のみんなから尊敬されていたのだった。
フェルミもいつか、父のような漁師になりたいという夢があった。
しかし、ある日のこと。
島に大きな大きな船がやってきた。
隣の大陸の王様がこの島を開拓しにきたのだ。
王様は大の魚好きで、島の人々に魚を高値で買い取ることを約束した。
人々は躍起になって漁に出たのだった。
しかし島には代々伝えれてきた掟が存在した。
「その日食べるものを、その日に獲る。いつも海に感謝を忘れてはいけない。」
この掟を唯一守ったのがフェルミの父だった。
「掟を忘れたのか。金に目が眩んではいけない。」
そう言って島の人々に呼びかけたが、皆は煙たがり、とうとう王様に目をつけられてしまい、処刑されてしまうのだった。
フェルミは悔しくてたまらなかった。大好きな父と大好きな海を奪われたのだ。
それから10年の月日が流れた。
島の人々の乱獲により、海は荒れ果て、使い物にならなくなった漁師たちは奴隷にされていた。
すっかり青年になったフェルミは着々と同士を集め、王様に対抗する革命軍のリーダーになっていた。全ては父の仇を打つために。
機は熟し、とうとう決戦の夜。空には大きな満月が赤い鈍光を放ち、荒れて海は死んだように静かであった。
革命軍は命を投げ出す覚悟で戦った。王が率いる軍に数では劣るものの、捨て身の反抗で圧倒していった。
フェルミは先陣を切って城に攻め込み、とうとう王を討ち取った。
しかし、残党に不意を突かれて殺されてしまうのだった。
革命軍の残った者たちは悲しみに暮れ、せめてものたむけとして、大好きな海へと弔った。
すると、
荒れ果てていた海はみるみると元の美しさを取り戻し、島の人々はまた漁ができるようになったのだ。
人々はその海のことをこう呼ぶ。
「フェルミの海」と…
いやレポートしろや。
でもこのまま提出したろ。